書籍・雑誌

奥田昌子著『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』

 Kindle版のブルーバックスは,初めて読みました。グラフがたくさん出てくるので,やっぱり紙媒体の本の方がいいですね。
 でも,内容は同じなので…しかも,どこでも読めるし。

 さて,本書の内容は,「欧米人と日本人とでは,同じ種類のガンの発生率が違っている。それはなぜか」というナゾ解きから始まっています。そのためアメリカで暮らす日系アメリカ人と日本人とアメリカ人との統計を比べたりして,それなりに説得力のあるお話が出ていました。
 ガンというのは,遺伝的要素が大きな位置を占めるのですが,その遺伝的要素を刺激する(あるいは抑制する)環境的な要因というのも無視できないというお話に,納得しました。遺伝的なものがあっても,それにスイッチを入れたり,活発に活動させたりするのは,また,別の要素も関係するのですね。

「病気になりやすい遺伝的素因を持っていても,必ずしも病気になるとは限りません。食生活を含む環境要因によって遺伝子のスイッチが切りかわるエビジェネティクスという現象があるからです。」(№2263)

 動物性たんぱく質が,あるガンの抑制にもなれば,逆の作用にもなる…など,「これと食べればいい」というものはないようですが,ま,円分を控えて,アルコールもほどほどにして,大豆製品を食べるという,今の生活をしていればいいのかな。あとは,犬の散歩と畑作りをしていれば申し分なし。

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フィリップ・ジンバルドー著『ルシファー・エフェクト』

 スタンフォード大学の地下で行われた監獄実験。1970年代のことらしいが,今回,ある講演会でこの実験の存在を聞き,興味を持って本書を読みました。本書の発行を見ると,最近まとめられたらしい。今になって,なぜ。それもまた,興味のあることです。
 普通の大学生・大学院生を,囚人と看守に分けて2週間生活させると,どのような変化が起きるのか。その恐るべき実験結果と,実験に参加した学生たちのその後の様子,そしてこの実験を巡る世の中の動きに関して,実に詳しく描かれています。
 800ページもある本書のうち,スタンフォード監獄実験そのものについての記述は,約半分。私は,まだ,そこまでしか読んでいませんが,これでも十分に読むに値する本です。

 あなたの人間性だって,社会的な状況の力や,それを生み出して維持する"システム”の力によってねじ曲げられかねないのだ。(422ページ)

 状況の力によって,私たちは,いつの間にか,本来の自分にはあると思っていなかったような状態になることもある。おそらく,戦争というのは,その一番の状態なのでしょう。状況の力によって,他人の命の大切さなどは,2の次になってしまう状態は,大変怖いことです。

 現在(2017年),「もう,ここまで来たら北朝鮮に爆弾の1つでも打ち込めばどうか…」などと思っている人は,すでにいくつかの国家が作り上げた「状況の力」に翻弄されてしまっている人であると言えるでしょう。その爆弾の下に,私たちと同じ血が通っている人たちもいるということを想像できなくなっているのですから。

 この実験については,ネット上にもいろいろと紹介されているようです。

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進藤康太郎著『「自分の字」で書く』

 『たのしい毛筆』(仮説社)で紹介されていたので,読んでみました。なかなかおもしろい内容でした。昔のいろんな人の書も紹介されてます。確かに,それぞれ個性のある毛筆の字を書いていて,「な~んだ,自分の字でいいじゃん!」って思います。

 お手本とそっくりな字を書けといわれて数十年。大人になったら「筆を持つまい」と思っている人がたくさんいます。この現状をなんとかしたい…そんな思いで書かれた本です。
 あとあと,マネしたいと思う字が出てきたらマネしようとすればいい。しかし,それまでは,自分の字でいいではないか。そう言ってくれるので,とてもうれしいです。これまで敷居の高かった毛筆に対して,「おれももう一度筆を持って見ようかな」という気分にさせてくれました。
 子どもたちに教えるときも,まずは,毛筆の楽しさ,筆で書くことの楽しさを体験してもらいたいと思います。
 本書は,そのためにも,役立つでしょう。

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『俳句の国の天使たち-こども地球歳時記』

170417 ずいぶん前の本ですが,子どもの俳句を読んでみたくて購入しました。
 子どもの俳句を集めた本は,他にも色々ありますが,本書は,日本航空広報部が編者であるところがユニークです。子どもが作った俳句とコラボしたプロの写真家の写真もあるし,なんと,英訳もあります。
 俳句の本としては異色の雰囲気を持っていて,見ているだけで楽しくなります。
 巻末には,父や母など,テーマ別に集められた俳句も載っていて,子どもたちに紹介しながら授業で使うことができるでしょう。

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伊知地英信著『うんちレストラン』

 今回も写真絵本の紹介です。これまた『たのしい授業』誌上に紹介されていたので購入してみました。なかなか素晴らしい本です。子どもも喜びそうです。

 A4用紙にデーンとウンコの写真が出てきます。それだけでも迫力があります。ウンコが苦手な人は,このページでたじろぐのでは…。
 うんちを食べる様子に至っては,もうすごい。うんちの拡大を通り越して,おいしそうなおかずにしか見えなくなります。写真についている一言がなければ,昆虫が普通に食事をしている風景にしか見えません(^o^) その名は,センチコガネ。
 他にも,うんちにあつまるいろいろな昆虫を写真入りで紹介してくれています。

「うんちは,だんだんつちにかえっていく。/そして,あたらしいうんちレストランが また できる。」
 生きもののつながりを教えた後の授業でいかがですか?

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青木幹男著『俳句を詠む,俳句を作る』

 うちの学校では,月に一句ずつある程度のテーマを決めて俳句を作らせています。しかし,なんとなく,タダなんとなく作らせているような気がしていました。
 今年,この分野の担当になった私は,「子どもの作る俳句」「子どもの生活と俳句」についてアタマの中を整理したくて,本棚に眠っていた本を取り出して読んでみることにしました。

 初版は1992年で,私の本棚にあったのは,こちらのものです。
 学校でも,「全校で俳句に取り組もう」といって,時間をとって作らせたりしてきたのですが,どうも,作らせっぱなしの感がしています。俳句を作らせてどうしたいのかが分かりません。
 そこで,そのあたりをつかむために積ん読だった本を読んでみました。
 著者が実際に小学校の高学年で行った授業記録も紹介されています。4年生の国語で習った「ごんぎつね」という物語をネタにして,俳句を作らせるという実践です。
 最初は,著者が作った俳句の一部を空欄にして穴埋めにさせます。その場所にいろんな言葉を入れながら,言葉の違いによってどんな風に感じるかを交流します。
「きのう栗 ○○○○○○○ 両の手に」…さて中七に入るのは何だろう?という案配に…です。
 著者の句には「コスモスをもらうお手々のごはんつぶ」なんてステキなのもありました。
 このように,2時間ほど俳句の導入の授業をした後は,通常の物語の授業の最後に,自分のすきな場面を選んで俳句を作らせるのもいいかもしれないなと思いました。
 紹介されている子どもの句には,次のようなものがありました。
・空ぶりの バットのむこうに いわし雲
・先生が たいいんしたよ とんぼさん
 これらの句を3行で書くという取り組みも,新鮮でいいなと思いました。

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渡邊寶陽著『宮澤賢治と法華経宇宙』

 著者の渡邊さんは,元立教大学学長らしいですので,法華経の世界に造詣が深いのは当たり前ですね。
 そんな著者が,賢治の環境と法華経との関わり,賢治の作品と法華経との関係を説明しています。
 法華経と宮澤賢治の関連については,これまでにもいろんな本で取りあげられていますが,本書は,その中でも,わりと法華経そのものの説明があって,分かりやすかったです。
 ただし,法華経そのものが,他のお経と同様一読しただけでは分からない(特に信者じゃないものには…)のですが…。
 

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『ざんねんないきもの事典』

 学校の図書室に新しく入った本を子どもがいないうちに読んでみました。
 1ページに1種ずつ,その種独特の特徴を簡単な言葉で紹介しています。確かに,なんでわざわざそんなことするの?とか,なんでそんな体になっちゃったの? と思うような動物たちがいっぱい出てきますが,中には,なるほど,そんな仕組みになっているのか…と感心もします。
 これを読んで,いろんな動物にも興味を持ってくれればいいなと思いました。
 さて,新学期からは,どれくらい借り出されるだろうか。

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こうの史代著『この世界の片隅に』

 映画を観たときには,「戦争当時であっても,その時代を有意義に生きるために,前向きな考えを持っていればよい」というメッセージ=「人の主観的な考え方次第でどうにでもなる」と取れなくもないような雰囲気もあったのですが,元になった本書を読むと,戦争に翻弄され,でも,元気に生きようとする主人公すずの姿が浮かびあがってきて,決して,当時をそのまま受け止めるしかない…というような雰囲気ではありません。
 映画を観た人は,是非,この原作も読んでください。

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小林秀雄著『ゴッホの手紙』

 いやー,おもしろかったです。
 著者の小林さんは,受験の現代文の問題によく出てくる人じゃなかったかな。私の学生時代は…ですが。
 著者が,あるゴッホの絵に魅せられ,どうしてもその絵が欲しくて…そのうち,ゴッホがたくさんの手紙を遺していることを知り,知人からその手紙が紹介されている本を借りて読み始めます。それらの手紙から,ゴッホの「生きる姿」がバシバシ伝わってきて,結局,こういう評論を書いてしまったようです。
 ただ,本書は,評論というよりも「ゴッホの伝記」になっています。副題にも「書簡による伝記」と書かれています。
「それよりも意外だったのは書き進んで行くにつれ,論評を加えようが為に予め思いめぐらしていた諸観念が,次第にくずれていくのを覚えた事である。手紙の苦しい気分は,私の心を領し,批評的言辞は私を去ったのである。手紙の主の死期が近付くにつれ,私はもう所謂『述べて作らず』の方法より他にない事を悟った。読者は,これを諒とされたい。(本書221ペ,新字体に改めました)」
 著者が言うように,後半は,まったくゴッホの手紙に語らせるだけ語らせている感じです。だからこそ,ゴッホが生に悩みながら生きていた様子が伝わってきます。
 さて,本書には,ところどころにゴッホの絵の写真が添えられています。絵は白黒ですが,一部を糊で貼ったようになっていて,こんな本を見るのは初めてです。
 また,本書は旧仮名遣いで書かれていて,その点,のちに出た『小林秀雄全作品20』の方が圧倒的に読みやすいです。しかし,出版当時の雰囲気を感じたい方は,古本を手にとってもらった方がいいかも…。ただし,『全作品』のように注釈はないので,読みやすさはその面でも劣ります。

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