書籍・雑誌

竹内早希子著『奇跡の醤』

 土曜日,1日で読んでしまいました。休日に一気に本を読み切るのは,久しぶりです。それほど,本書のいろんな場面で「今後どうなるのだろう」と気になりました。不謹慎な言い方になるかも知れませんが,物語の先が読みたくなる本でした。本書が著者の竹内さんにとって初めての著作だなんて思えないくらい,大変読みやすくてしかも臨場感あるルポになっていると思います。
 取りあげられている人物が,どの方も人間的な魅力にあふれています。その方々の言葉に,時々立ち止まりながら,読み進めました。いや,むしろ,立ち止まらないと読み進められなかったのです。
 本書の売上げの3%は,震災孤児の就学支援のための基金に寄付するそうなので,是非,ご自分で購入してお読みください。

 震災の悲惨さと共に,人間の生きる力を感じさせてくれる本です。
 八木澤商店のお醤油を味わってみたくなりました。

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松本徳重著『ひとことちから』

 子どもは,教師にいろいろと質問をぶつけてきます。それに対して,教師はどう答えればいいのか。答え方一つで,教師への信頼が増すこともあれば,逆になることもあります。
 本書には,子どもの質問の具体例と,その回答の一例が紹介されています。あるときは,上手く冗談で交わしたり,あるときは真剣に向き合ったり…。そういう意味では,教師のためのHowTo本と言えます。
 が,しかし,本書に出ている言葉を覚えて,それを子どもたちに返していくようなことでは,子どもの信頼は得られないと思います。それは,教師の回答に対する,子どもの返し方もさまざまだからです。
 私は,本書から「子どもの何気ない質問(それが教師のプライベートに関することであっても)には,真摯に向き合い,教師からもメッセージを返すことが大切である」ということを学びました。
 子どもたちは,特に若い教師には,気軽にいろんな質問をしてきます。そういう意味では,若者は読んでおいていい本かな。

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坂井豊貴著『「決め方」の経済学』

 多数決でなんでも決められるのか? 多数決は民主的と言えるのか? 多数決に疑問をもっている方,必読の本を『たのしい授業』の書評で教えてもらいました。

 副題に「みんなの意見のまとめ方」を科学する-とあるように,本書は,人々の多様な考えの状況を如何に正確に捉え判断するかを解説した本です。
 本書を読むまでもなく,単なる多数決は,民主的な方法とは言えません。しかも多数派が少数意見を全く無視したような多数決は「多数の横暴」とも言えます。さらに,3択や4択があるときの多数決は,死に票がたくさん出たり,本来のベターではない人が選ばれたりする可能性もあります。
 本書は「決め方を変えると結果が変わる」ということを具体的に示してくれるています。「民意は選挙結果から分からない」ことも,教えてくれます。
 この決め方が絶対正しいというのはないようですが,ボルダルールなどは,なかなかおもしろい方法です。ボルダールールは「広く指示されている人」が選ばれる方法です。
 決め方を変えると,歴史が代わり,もしかしたら今のイスラム国も誕生しなかったかも知れない…という話も出てきます。

 今の日本の選挙制度ももっと民意を反映するようなモノにしていかないと,選挙そのものに興味が出ないという状況は変わらないでしょう。「私の一票が生きている」と思うからこそ,人は投票に行くようになると思うからです。
 その方法として,著者は,マスメディアに期待しています。世論調査の折りに「あなたはどの政党を支持していますか」と聞くのではなく,ボルダルールや総当たり戦ルールで聞くのです。そうすることで,民意を反映した,よりよい国会議員の構成の姿が浮かびあがってくるのではないか。

 多数決は,どうでもいい内容の時に使うものである。
 ねーねー,今日のお昼何にする?

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あきやまただし著『へんしんマラソン』

 ある言葉をくり返しているうちに,違う言葉が出てくる…というだけの絵本。
 例えばかまっ,かまっ,かまっ,かまっ…」といっている間に「まっか,まっか,まっか…」なるという感じ。
 子どもたちは,次のページに出てくる変身言葉を予想しながら見てくれるので,読み聞かせにピッタリです。
 本シリーズはたくさん出ています。
 低学年の補欠に行ったときなどに,ちょろっと読んであげると喜んでくれると思いますよ。

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すとうあさえ著『ざぼんじいさんのかきのき』

 『たのしい授業』誌上で紹介されていた絵本を読んでみました。図書室にあったので…。

 けちなじいさんと,やさしいばあさん。
 昔話から,こういうパターンはあって,本書もまた,そのように期待通り進んで行きます。
 じいさんが改悛するのはいつなのか? 大人は,先が読めてしまいます。子どもも,このままいくとヤバいことになりそう…と分かってくると思います。
 ざぼんじいさんのけちな態度に対して全く対決しようとしないばあさんという組み合わせが,読後を爽やかにします。

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出口陽正著『数学教育近代化運動と仮説実験授業』

Sugaku 著者の出口さんは,仮説実験授業研究会で,算数・数学の授業書を数多く作成してきた人です。板倉聖宣さんの方法論に学び,実験できる算数を中心とした授業書や仮説証明授業と言った,新しい分野の開拓を進めて来ました。私も,そのうちいくつの授業書を授業にかけ,子どもたちから喜ばれた経験がたくさんあります。
 さて,本書は,わが国の算数数学教育の歴史を紐解き,算数数学教育がいかに改革しようとされ,実際に改革されてきたのかが,コンパクトにまとめられています。その歴史をふり返る作業は,同時に,出口氏ご自身が研究・作成してきた授業書が,数学教育史上でどんな位置を示すのかを探る作業でもあります。
 第1部は「実験できる算数/数学の系譜」。授業書《2倍3倍の世界》に関わって,以前にはどのような実践例があったのかを明治まで遡って調べています。ジョン・ペリーや小倉金之助など,とても興味深い数学教育実践家がいたことが紹介されます。ここでは,《2倍3倍》に出てくる面積や体積の大きさ比べをするときに重さで調べる方法がずっと前に開発さていたことも出てきます。
 第2部は「対数グラフとその教育の歴史」。これは《0と1》という授業書を開発するに際し,その授業書の教育的意味・歴史的位置づけを調べるべくまとめたというレポートです。
 対数グラフがいつ頃から使われてきたのか,だれが作ったのか? どうして今の教科書からは消えているのか…など,謎解きのような感じで読むことができます。対数グラフの便利さは,知っていないと分かりません。「対数」と聞いただけで毛嫌いしてからでは遅い。もっとはやい段階からこのグラフを導入できれば,社会を見る〈ものの見方・考え方〉に大きく影響すると思いました。
 これまでも,数学教育史の本をいろいろ探してきましたが,遠山啓さんの著作集に少しあるくらいで,なかなか見つかりませんでした。ならば,書いてしまえ…というのが,出口さんのお仕事でした。
 本書のように,各論突破で算数数学教育史を調べることで,算数数学教育が歩んできた全体像が少しずつ見えてくるんだろうなと思います。

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山路敏英編集『あなたお葬式どうする?』

Ososiki 私が所属している研究会は,子どもたちに科学的な考え方を身につけてもらおう,科学を好きになってもらおう,そして何より自分を好きになってもらおう…そのためには,どんな教材を用いてどんな教え方をすればいいのか…ということを研究する団体です。で,当然ながら,考え方そのものも,科学的であろうとするので,信仰面では無宗教の方々がいっぱいいます。
 ま,わたしの家には仏壇もあるし,代々(と言っても,そんなに昔じゃないだろうけれども),浄土真宗本願寺派のお寺さんの檀家でもありますので…私自身は無宗教でも…お墓の心配もしなくていいのですが,都会の人たちは,そうも言っていられません。そこで,研究会の中では,本書のようなことも研究することになるのです。
 なかなかユニークな内容の本でした。

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村西正良編『サモス島から旅ははじまった』

Samosu 研究会仲間のメンバーたちが,知りたいことを追い求めて(我が好奇心を抑えきれずに),ギリシャまで行って来たという旅の報告記です。いやー,面白かったです。
 京都の吉田さんを中心として,13名での旅行。リアルタイムの情報は,FBも流れていたのですが,こうしてまとまったのを読むと,よく頭に入ってきます。13名が,それぞれの眼で見ているのが,おもしろいです。気候,地質,歴史,習慣など,多岐にわたるレポートは,読んでいてドキドキしました。
 本書は,自家製版なので,本屋さんでは手に入りません。こういうのを作って交流するのも,うちの研究会の楽しさの一つです。今年の夏は,ホンモノのレポを聞いてこようかなあ。

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あらきみほ編著『名句もかなわない子ども俳句170選』

 なかなか楽しい本でした。
 各ページに,子どもが作った俳句と,大人の俳人が作った俳句が対になって掲載されています。もちろん,同じ季語の俳句です。そして,編集者のあらきみほさんの,心温まる会話が綴られています。あらきさんの一言を読んでいると,なるほど俳人とは,日々の出来事をこういうふうに感じているのかもしれない…と思いました。俳句を作るって,今の生活が,より豊に感じられることにつながるんだなと思いました。ま,こういうことは,絵を描いても同じだろうし,虫を探して歩き回っても同じでしょうが…。
 紫陽花の季語の俳句を紹介します。
・あじさいの庭まで泣きに行きました(小六)
・かなしみはかたまり易し濃紫陽花(岡田日郎)

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奥田昌子著『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』

 Kindle版のブルーバックスは,初めて読みました。グラフがたくさん出てくるので,やっぱり紙媒体の本の方がいいですね。
 でも,内容は同じなので…しかも,どこでも読めるし。

 さて,本書の内容は,「欧米人と日本人とでは,同じ種類のガンの発生率が違っている。それはなぜか」というナゾ解きから始まっています。そのためアメリカで暮らす日系アメリカ人と日本人とアメリカ人との統計を比べたりして,それなりに説得力のあるお話が出ていました。
 ガンというのは,遺伝的要素が大きな位置を占めるのですが,その遺伝的要素を刺激する(あるいは抑制する)環境的な要因というのも無視できないというお話に,納得しました。遺伝的なものがあっても,それにスイッチを入れたり,活発に活動させたりするのは,また,別の要素も関係するのですね。

「病気になりやすい遺伝的素因を持っていても,必ずしも病気になるとは限りません。食生活を含む環境要因によって遺伝子のスイッチが切りかわるエビジェネティクスという現象があるからです。」(№2263)

 動物性たんぱく質が,あるガンの抑制にもなれば,逆の作用にもなる…など,「これと食べればいい」というものはないようですが,ま,円分を控えて,アルコールもほどほどにして,大豆製品を食べるという,今の生活をしていればいいのかな。あとは,犬の散歩と畑作りをしていれば申し分なし。

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