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渋沢栄一著『論語と算盤』(現代語訳,ちくま新書)

 わたしの本棚では,カテゴリは「自伝・伝記」に入れたけれども,本書の内容はそれ以上のものである。
 日本資本主義の父と言われている渋沢栄一が,自分が生きる基準としてきた『論語』と,商売人としての生き方との関わりを解説した内容である。
 『論語』と〈商売〉とは,なかなか相容れない感じがする人も多いだろう。それは渋沢もよく分かっていたようだ。
 わたしも,商取引に関しては「商売というのは,道徳を無視して行うものではないか」「道徳的な人間は商売(金儲け)なんかに手を出すものではない。慎ましく生きるのだ」…みたいな感じがどうしても払拭できない。でも,それは,そう思ってしまう私が悪いわけではなく,実際,そんな商売人が多いから仕方がないことだ。今回の関電の話(2019年10月)を見るとなおさらそんな気分になる。
 渋沢は,儒教の生き方や武士道を取り上げながら,本当の商売は,その道にも見合ったものだという。自分のやってきた商売は決して自分の金儲けだけのためにやっているのではない。自分は常に天下国家を考えながら行動してきたのだと語る。実際,400以上の会社に関わってきた渋沢だが,そこで得た財産を慈善事業に使ってきたことも間違いない。三菱をつくった岩崎弥太郎と自分を比較しながら,なかなかおもしろいことも言っている。
 一万円札の肖像画になったということで,これから少しずつ有名になってくるだろう。この本だって,だからこそ出版されたとも言える。だって現代語だから読みやすいしね。
 渋沢栄一,もう少し幕末の頃も知りたいものだ。最初は幕府側にいたらしいので…。いよいよ自伝を読むかな。

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