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浅井リョウ著『武道館』(文藝春秋)

文藝春秋
発売日 : 2015-04-24
 浅井リョウがアイドルを扱うと,こんな感じになるんだなあ~というのが,読後の第1印象。
 大地と愛子という幼なじみの設定が,一貫して物語の縦の線を貫いている。
 アイドルグループが武道館を目指して成長する物語…といいたいところだが,そこは,もちろん,「よかったね! ちゃんちゃん!」では終わらないリョウの世界がある。人の成長とは何か,アイドルを売るとは何か,夢とは何か,いろんなことを考えさせられる物語でした。

 この社会では,他人の欠点をあげつらって不幸を願う悲しい人々のなんと多いことか。もっとみんなが人の幸せを願うことを目指して欲しいと思う。だれかが何かをやらかすのを待って,バッシングする社会は,ただただ窮屈なだけ。
 人が成長していくというのは,自分で,そのときどきの生き方を選択していくということ。どんな選択であっても,それは「シメタ」と思えたほうがよい。

 以下は,文章からの引用文です。

「愛子は,その全員の選択に,テストで正解を出したときみたいに,赤いマルをつけたかった。やりたいこと,夢,今自分がいる環境,現実。すべては両立しない。だから人は選択をする。ならば,その選択にどうにかしてマルをつけたかった。」(P.260)

 そう,どんな選択もマルなんです。心からそう思えるだけで,どれだけ気が楽になることか。「こんな選択でよかったのか」となやむよりも,「次にどう選択するか」と考える方がよほどいいです。

 この物語のエンディングは,心温まりました。

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