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ETV「94歳の荒凡夫~俳人・金子兜太の気骨」(前編)

 本年2月、俳人の金子兜太(とうた)氏が逝去した。享年98。
 私が彼のことを知ったのは、昨年4月のこと。「今年は俳句の先生になるよ」と子どもたちに宣言し、「子どもの俳句づくり」について調べていたとき、〈子どもの俳句づくりを積極的に進めている俳人〉として出会った。それ以来、著作を読んだり、『北陸中日新聞』の「平和の俳句」の選者であることに気づいたりして、なんとなく気になる人となった。
 逝去に際し、NHKは2014年放映の番組を再放送した。今回は、その番組で紹介されていた「俳句」を紹介しながら、俳句の持つ力について考えてみたい。

○曼珠沙華どれも腹出し秩父の子

 東京に住んでいた兜太が故郷の秩父に帰省した際、少年時代を思い出してため息のように詠んだ句。地元の秩父音頭は七・七・五のリズムであり、兜太は小さい頃から七・五のリズムに慣れてきたと自認していた。

○長寿の母うんこのようにわれを生みぬ

 長男兜太を生んだとき、母はまだ17歳だったらしい。それにしても、生まれてきた我をうんこに喩えるとは…。身体からうんこが出るのは必然。生まれるべきして生まれてきた命を読んだ句と言えるかも。

○魚雷の丸胴蜥蜴這い廻りて去りぬ
○水脈(みお)の果て炎天の墓碑を置きて去る

 戦争に召集された兜太はトラック島へ。が、島に着いたとき日本軍は既に壊滅状態だった。餓死者が続く中、奇跡的に生き抜いた。「水脈の…」は、終戦後、島を離れるときの作品。帰国後、兜太は銀行員として勤務をする。

○一機関車吐き噴く白煙にくるまる冬
○おおかみに蛍が一つ付いていた
○暗闇の下山くちびるをぶ厚くし
○銀行員ら朝より蛍光す烏賊のごとく
○湾曲し火傷し爆心地のマラソン
○梅咲いて庭中に青鮫が来ている(以上、すべて兜太作)

つづく…。

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