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金子兜太他選『金子兜太いとうせいこうが選んだ「平和の俳句」』

 いとうせいこうと金子兜太さんが選者を務めていた「平和の俳句」が1冊の本になりました。

○十八才 戦争しないと 決めた年

 十八才から選挙権が。この作者は,戦争をしないと決めてくれました。自分のために,これから生まれる子どもたちのために。

 地元紙『北陸中日新聞』の第1面に紹介されていた「平和の俳句」の1年間分の作品をまとめた単行本です。このコーナーは,2017年いっぱいまで続きました。本書は,その中の2015年の1年間に紙上で紹介された俳句が集められています。
 川柳や狂句など風刺の効いたものが好きな私ですから,もともと俳句にはあまり興味がありませんでした。というのも,俳句というのは日本の四季を詠んでいるだけのものであって,自然とじっくりと向き合う時間のある人の高尚な趣味だと思っていたからです。俳句なんて,社会に対しても,あんまり力を表さないし…みたいに思っていました。
 しかし,「平和の俳句」は違っていました。限りなく川柳に近いような作品もありました。「平和の俳句」は,時代を捉え,しかも,社会に働きかける力まで感じるものでした。「俳句もなかなかやるな」と思った次第です。
 選者のいとうせいこう氏と金子兜太氏については,対談集も出ています。その本も,ユニークな二人の刺激的な本でした。
 本書でも,選んだ俳句についての両者の選評がちっちゃな字ですが載っていて,これを読むのもまたたのしいです。
 私のお気に入りを5つくらい紹介します(たくさんありましたが)。

○平和には主義などないと大根干す
 右派だとか左派だとか,すぐにレッテルを貼って差別をしようとするネットの人たち。これは日本だけではないのかな。でも,平和を求める気持ちは,みんな同じはず。

○戦争はすべての季語を破壊する
 これは,俳人しか読めない句でしょうね。そうか,季語ってやっぱり大切なんだな。日本の四季を楽しめるのは平和だからだなと思いました。かっこいい。俳句っていいな。でもこれって川柳っぽい。

○うたってよピースソングを忌野忌
 忌野清志郎,大ファンです。数年前の5月2日,ラジオから彼の死去を知ったのでした。「愛し合ってるかい~」という声が聞こえてきそう。個人的に趣味が同じなので記憶に残りました。

○若者よ銃など抱くな人を抱け
 自然な姿が一番。銃など抱かないで下さい。昔,銃を抱きながら「人」を抱いたこともあったようです。それがいまだに尾を引いている―慰安婦―のです。ここでいう〈人〉は〈愛しい人〉。人を抱けば新しい生命が生まれる。銃を抱けば,命を奪い奪われる。これも川柳に近い。

○戦争はしないと言ったではないか
 これほど直接的な言葉はない。
「あんた,あのとき,軍隊は持たない,我々は戦わないと言ったでしょ。なんで気が変わったの。」
「またバカなことをするの? 時代が変わったなんてこじつけでしょう。この嘘つき!」
「私は,あなたの言葉を覚えていますよ。」
「戦争をしないといったから,この国をもう一度好きになろうとしたのに…。なによ今さら」
「〈本当は70年前から,また戦争したかったんだ〉〈戦争のできる国でいたかったんだ〉〈あのときはあいつが怖かったので,そう言っただけだ〉なんて,言い訳しないでね!!」

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