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東郷茂徳著『時代の一面』

 単行本を読んだけど,ネットに画像がないので,文庫本の画像で紹介します。

 本書は,大東亜戦争開戦時と終戦時の2度外務大臣の任にあった東郷茂徳が,東京裁判に於いて禁固20年の刑を受け,巣鴨の獄中にあるときに書き綴った自分の半生を描いた自伝である。本人は「自伝」とは言っていないが…。
 本書を読むと,彼が,早くから欧米の社会や思想に造詣が深く,広い眼で祖国日本を見ていたことがよく分かる。奥様もドイツ人である。
 日独伊三国同盟に反対したり,対米戦争をなんかして避けようと努力したりする姿からは,「開戦決定時の外相であったために処罰を免れない」というにはあまりにかわいそうにも思えてくる。
 敗戦後,鈴木内閣が総辞職したあと,次の東久邇内閣の外相に再度誘われた際,
「太平洋戦争勃発前自分は極力平和的解決に努力次第であるが,其際の外務大臣であったから敗戦の此際に於いては戦争犯罪の問題発生すべき懸念もある」
と辞退していることから,本人はその責任を感じていたのも確かであるが…。
 終戦前,鈴木貫太郎首相から外務大臣就任を頼まれた時(1945年4月),茂徳は以下のように述べて,戦争を始めてしまった責任を取ろうとしている。
「自分として本戦争の発生を防止せん為め苦心を重ねた訳であるから,出来るだけ速やかに之が終結を計ることには喜んで尽力したい…」
と前向きな態度を示している。そして,実際,軍部とやり合いながら,日本を終戦へと導いていった一人なのだ。
 本書は「時代の一面」と題された書である。彼が生きた時代の一面は,「一面」というにはあまりにも広く重いものだったに違いない。

 「経済政策」という名の圧力が,日本を太平洋戦争開戦へと追い込んだことを思うと,今の時代,北を同様の圧力で追い込むことの怖さもまた,見えてくる。
 私たちは,歴史から学ぶべきである。
 戦争で亡くなった人たちへの弔いは,英霊として祀り上げることではなく,二度と,戦争で亡くなる人をつくらないことなのだから。

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