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二人の『宇宙をつくるものアトム』

 1965年発行の本(私が買ったのは1985年版)なので,ネットには表紙がないようです。寺田寅彦の文章と『1471年,その一冊がすべてを変えた』に刺激されて,再読してみました。

 2000年も前の科学者であるルクレチウスが書いた文章と,ノーベル物理学賞をとったブラックの講演記録を起こした文章とが収められています。
 ルクレチウスは古代原子論者です。原子の存在について,現代と同じような考え方を持ち,それを市民に説明しようと書いた,詩の形をした論文です。編者の板倉聖宣氏は,ルクレチウスの書いた詩の形にこだわって,国分一太郎さんに訳を頼んだそうです。ですから,岩波文庫版のルクレチウス著・樋口勝彦訳『物の本質について』よりも,とても読みやすくなっています。ただし,抄録ですが。
 一方,ブラックの文章は,英国の王立学会が毎年開いていた科学に関するクリスマス講演で講演した内容が元となっているようです。ブラック親子はX線を使った結晶格子の研究でノーベル賞を取ったのですが,それらの内容だけではなく,広く,原子やその仕組みについて,とても分かりやすく書かれています(書いたのは父のヘンリー・ブラックの方)。
 両者とも,「宇宙をつくるものアトム」という邦題になっているのは,ブラックが本を書くときに,ルクレチウスの題名を使ったからだそうです。
 ルクレチウスについては,寺田寅彦も随筆で紹介していますが,ホンモノを読んだことのある人は,あまりいないと思います。
 なかなか素晴らしい文章ですよ。

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