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ゴッホの手紙から(日本編)

170308 今日もまた,ゴッホの手紙の一部です。
 今回は,日本のことに触れているものをいくつか紹介します。ゴッホは,日本の浮世絵に造詣が深かったことはけっこう知られていることですが,日本の浮世絵版画の単純な色彩に影響を受けていた様子が伺われておもしろいです。日本に行ったことがないと思われるのに,その風景を想像しているのもおもしろいです。なお,引用したのは右の本からです。県立図書館よりお借りしました。
 この本の紹介は,ここに書きました。

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 ぼくのアトリエは,十分我慢できる。というのも,かべにひとまとまりの日本の版画をピンで留めてみたところ,たいそう楽しげな感じになったのだ。知ってのとおり,版画には,庭や浜辺にいる女たち,馬に乗る男たち,花々,節くれだったいばらの灌木などが描かれている。(1885年12月)

ベルナール宛
 この田舎(南フランス,プロヴァンス地方のアルル?)の景色は,澄んだ空気と鮮やかな色彩という点で,ぼくにとっては日本と同じくらい美しい。水が,風景の中で,日本の版画で目にするゆおなきれいなエメラルド・グリーンと豊かな青の斑点を作り出している。淡いオレンジ色の夕焼けが,地面の青からくっきりと浮き立つ。そして太陽はまばゆいばかりの黄色だ。このあたりの景色を,あの夏の輝きのもとでも見なければなるまい。ここの女たちは上品に着飾っていて,特に日曜など大通りに行けば,とても単純だが巧みな色の組み合わせを目にすることができる。きっと夏になればいっそう輝きをますことだろう。(1888年3月)

474
 きみも知っているように,ぼくは作品については気が変わりやすい。果樹園を描くというこの情熱がいつまでも続くわけではない。翌日には闘牛場を描いているかもしれないのだ。それに,山ほど素描を描かなければならない。ぼくは素描を日本の版画のスタイルでやってみたいと思っている。鉄は熱いうちに打つ以外に手がないのだ。(1888年4月)

487
 田舎の風景に囲まれた小さな町が黄色と紫色の花で満たされている。わかるかい,まるで日本の夢を見ているかのようだ。(1888年5月,アルル近郊の花畑)

500
 ここの海を見て,ぼくは今や,この南仏にい続けることの重要性と,色彩をさらに誇張することの必要性とを,完全に確信している。ここはアフリカそのものだってそう遠くないのだ。
きみがここでしばらく過ごせたらいいのに。しばらくいれば,ぼくが感じたのと同じようにきみも感じるはずだ。ものの見方が変わり,ものごとをより日本人のような目で見るようになる。そして色彩に対してこれまでとは違った感覚と持つことになる。
実際,ぼくは確信しているのだが,ここにしばらく滞在することは,自分の個性を解放するために必要なことにほかならないのだ。
日本の芸術家はすばやく素描する。まるで稲妻のようにとてもすばやく。それは彼らの神経がより繊細で,より単純な感覚を持っているからだ。

ベルナール宛
 ペンによる大きな素描を描いた。2点あるが,そのうちの1点は,広く平坦な校外を,丘のてっぺんから鳥瞰的に見たもので,葡萄畑や収穫後の麦畑を描いている。すべてのものが無限に反復され,海原のように地平線に向かって広がっていき,句ローの低い山々にまで続いている。
それは日本のようには見えないが,ぼくがやった中でもっとも日本的なものであることは事実だ。ごく小さな耕す人々,麦畑の中を走る小さな汽車,それらが,この中に描かれた生活のすべてなのだ。(1888年7月)

554
 ようやくだが今度の作品が,少なくともどんな作品になろうとしているかがわかるような小さなスケッチを送る。今日,その制作に戻ったからだ。ぼくの目はまだ疲れているが,頭には新しいアイデアがわいてきた。これがそのスケッチだ。またも30号のカンヴァスだ。今回はシンプルにぼくの寝室だが,主役はここでは色彩だ。その単純化によって,そこにあるものは一層存在感を増し,ありふれた休息とか睡眠の感覚が生きたものとなる。実際,この絵を見ることは,脳を,あるいはむしろ想像力を休息の感覚で満たすはずだ。(中略)
明日1日,再度この作品に取り組むつもりだが,きにみはいかにこのコンセプトが単純であるかがわかるだろう。暗がりと影は取り除かれる。明快に彩色され,日本の版画のように平板に色がつけられる。
これは,例えばタコラスコンの馬車や夜のカフェと好対照となるだろう。(1888年10月,寝室)

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