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浜田寿美男著『「私」とは何か』

 またまた浜田寿美男さんの著書の紹介です。いやー,おもしろいです。はまっています。

 「私」ができあがっていくためには,実の多くの環境要因が絡み合っていることは,当然と言えば当然です。発達心理学者である著者は,乳児~幼児の観察や,自閉症の子どもたち,障害を持った子どもたちの実例を通して,「私」がどのように形成されていくのかを分かりやすく説いてくれます。
 他者と絡み合いながら,「私」ができてきます。しかし,その「できた」と思っている大人の「私」でさえ,他者なしでは,何もできません。自分の意志だけで,なんでもできると思っている人がいるとすれば,それは誤謬でしょう。
 著者は,自らが名づけた「発達論的還元」という手法を駆使し,私たちが言葉というものを身につける過程を興味深く示してくれます。
 最終章では,羞恥心について,その出所がどこにあるのかを教えてくれました。私たちは世間の中に生きているのですが,その世間には,「私」も含まれています。「私」も,得体の知れない世間をつくる部品の一つなわけです。だから,世間の目を気にしてわき起こる「私」の羞恥心は,実は,もう一人の自分がいるからこそ起きてくるものだということが分かります。その世間を力で変革することはむずかしい。しかし,自分もその世間の一部であるのなら,自分の行動を少し変えていくことで,世間も変化するのではないか…なるほど,そういう手があったか…と思いました。

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