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割合の問題ができるようになるには…

 「平成27年度全国学力・学習状況調査 算数B」に次のような問題が出たそうだ。

(2)次に,せんざいを買います。家で使っているせんざいが,20%増量して売られていました。増量後のせんざいの量は480mLです。
 増量前のせんざいの量は何mLですか。求める式と答を書きましょう。

 さて,あなたは,この問題にすぐに式を立てて答えることができるだろうか?
 できなくても大人になっているのなら,こんな問題で子どもを苦しめる必要はないのか?
 増量されていてしかも,安いのなら,計算なぞせずに,それを買ってくればいいだけの話。この問題がさっとできるのが生きる力なのか?
 というような話は,この際置いておくことにしよう。

 ま,それでも,この問題は算数を使えば,計算で求めることができるのだから,できた方がいいんだろう。
 わたしだって,どの単元も,できるように教えてきたつもりだが,中でも,一番定着してくれないのが「割合」である。

 この問題の正答率は…全国平均でなんと13.4%だったらしい。10人に1人くらいしかできないのだ。

 この問題が解けるようになるための対策について,清野辰彦氏(東京学芸大学)は,次のような対策を述べている(「教室の窓 vol.47」東京書籍の教育情報誌より)。

○学習指導では,基準を明確に意識することや二つの数量の関係を捉えるための数直線の用い方を丁寧に指導することが重要となる。
○それだけでなく…中略…たとえば,親子で買い物に行き,割合が関連している商品の情報を記録し,その情報から金額や量などを求める活動を,家庭学習としてぜひ行わせたい。

 現場にいる者としていうと,一つ目のことは,教科書通りやっている教師ならみんなやってきたことである。それでも,数週間たつとできなくなるのが,割合の問題の難しさなのだ。また,教科書会社がなぜか好きな「数直線」という使いにくい図を使うよりも,もっと分かりやすい図を取り入れた方が,よほどまし。ちゃんと,より分かりやすい図を考えてくれている人はいるんだから。
 また,そもそも量と割合の関係もよく分かっていない。教科書にあるように,式に単位(や助数詞)をつけてこなかったために,いったい自分はなんのために,こんな計算式を立てたのか,よくわかっていないのだ。「4mと基準にすると,1mはそのいくつ分ですか?」なんて,なんのことやら…。
 また,2つ目については,もはや家庭の教育力に期待するしかないような感じがして,「それは学校現場としては違うだろう…」といいたくなる。
 もともと,学力がなかなかつかない子は,家庭でも勉強を見てもらえない子が多い。それは家庭の問題ではなくて,ちゃんと身に着くまで学校で見てあげられないことが問題なのだと思う。そう思わないと,教育課程の改革なんてできないのではないか。
 今の教科書が示す時間数配当では,割合を理解できないまま単元が終了してしまう子がいるのが現実だ。もう少し教育内容を絞り込んで,割合などの重要な単元に時間をかけるようにカリキュラムを再考してほしいものだ。

 もっとも,単元による時間数の増減などは,これまで,担任の裁量でもできていたことだが,最近は,「○○スタンダード」と呼ばれると「しばり」が大きくなって,どの学校でも,どんな先生も同じような授業のすすめ方が奨励されるようになってきた。その分,分からない子がいても,「自分は言われたとおり教えているのだから…」という教師が増えてくるのではないか。
 自分で納得できる教え方(教育内容と方法)で子どもたちと対してこそ,仮にその実践が不十分だった(子どもの理解が深まらなかった)場合には,教師は自分のこととして大いに反省するのではないか。そして,そんな教師こそが,指導力のある教師になるのではないかと思うのだが…。

 もっと教師に自由度をもたせて,しっかり教材研究をさせる。そして,教科書を参考にしながらも,自分の納得した内容と方法で実践させる。そういう昔からの積み重ねが大切だと思うのだ。

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