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中室牧子著『「学力」の経済学』

   本屋で見付けたとき,なんとなく,気になったタイトルだったので,読んでみました。Kindleで読むには,統計のグラフが読みにくいので,紙の方がいいと思います。ただし,パソコンでも確認で来るから,ま,Kindleでもいいですが…。電子書籍の方が,安いからねえ。

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著者 : 中室牧子
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日 : 2015-06-18
 教育に関しては,家庭教育のみならず学校教育に関しても「一億総評論家」といえる状況が続いています。そうなるのは,無理もありません。家庭教育も学校教育も,大人のだれもが自分の歩んできた道なので,それに対して,一家言あるのは当たり前だからです。
 しかし,それらのここの主張や主義は,たとえ教育者であったとしても「個人的な経験に基づいているため、科学的な根拠がなく、それゆえに<なぜその主張が正しいのか>という説明が十分になされていない」ことが多いのです。だから,そんな個人的な経験を変に拡大して「ひとつの事例にすぎないものを、あたかも全体を表しているかのようにとらえてしまう」ことで,誤謬を生みだしかねません。
 著者の主張は,「学力を科学的に考える」です。
 少人数学級で学力は上がるのか?
 勉強に対するご褒美は,悪いのか?
などに対する科学的な証明?は,教育界の常識を否定する事実もあったりして,おもしろいです。
 ただ,読んでいて,少し違和感を持ったのも確かです。
 まず,各種の調査の多くが米国産であることです。
 教育は文化でもあります。日米の文化の違いは,大変大きい。教育現場を見ただけでも,その自由度は全く違います。米国で得た「科学的」な研究結果が,そのまま日本でもあてはまる保障はない。そのことについては,著者も言及していますが…
 もう一つは,その法則(のようなものが)あてはまる限界を考えていないことです。
 少人数学級の成果が上がらないという研究を紹介するのに「25人を20人に減らしてみたけど学力に対して有意な差は出なかった」といいますが,それが,そのまま「40人から20人に減らしたときにもあてはまるとは限りません。
 ただ,わたしは,現場の感覚から「人数を減らしても余り変わらないだろうな」とは思っています。結論としては,科学的な研究をした著者と同じです。が,私のこの結論は,「科学的根拠のないたわごと」なんでしょうかね。

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