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小林先生の人生訓とは…

 ノーベル物理学賞を受賞した小林誠先生の講演会の続編。
 この講演会では,質疑応答の時間がたっぷり確保されていた。そこで,「○○校長の○○です」なんて自己紹介をしながら,いくつか質問が出て,小林先生もそれに丁寧に答えてくださった。

 ここで,参加者たちは,小林先生の人生訓を引きだそうとするが…。

151211質問 私たちの町は「町からノーベル賞を」というスローガンでやっているのですが,ノーベル賞をとれるような子どもたちを育てるために必要なことは…

答え ノーベル賞云々は結果であり,目指すようなものではない。「よい研究者を育てる」と言うことであれば,お答えできる。

答え 余り早い時期から「私はこっちの道にする」と決めない方がいいのではないか。中学,高校で学ぶ理科の内容なんて,ほんの一部であり,その内容で,将来のことを決めるのは好みではない。現代は発展のスピードも速いから,ゆっくりと進路を決めればよいのではないか。高校生くらいの知識は,現在の科学のインフォメーションにもならないと思う。

質問 小中学校での興味の持たせ方は?

答え 一般的に,自然現象について興味を持つようになってもらいたい。そのときに,学校の教材で取り上げられているのは僅かなので,その周辺・外部のことも知らせてあげたいと思う。学校の中だけでどうにかするというのはむずかしい。ただ,あまりオタクになる必要もないだろう。

質問 座右の銘はありますあ? なにか人生で大切にしてきたことなど…

答え わたしは,そういうのを持たないようにしている。何かに囚われると,発想が限られてしまい,それ以上進めない。科学的に考えることだけをしている。

質問 高校時代に部活を一生懸命やっていたとお聞きしました(これは,講師紹介者が言っただけで,本人は話していない)が,何か,部活をやっていてよかったことなどありましたら,高校生に聞かせてください…

答え ウ~ン,あまり…。ま,部活をやっていた分,勉強しなかったのだけれども,これくらいにはなった…ってことかな(会場,笑い)。

 以上のようなやりとりは,私にとっては,とてもスリリングで,おもしろかった。
 会場からは,「なんとか,ノーベル賞受賞者から人生訓を引きだしたい」という意識が見え見えなのだが,それに対して,小林先生は,本音でさらりと答えてくれている。そのちぐはぐさがおもしろいのだ。
 世間には,何かの分野で成功したとたん,「人の生き方は○○がよい」だの「私の座右の銘は○○だ」と言う人がいたりして,なんか,押しつけがましくて,しらけてしまうのだが,小林先生の,徹底した,科学観に則った生き方は,気持ちがいい。

 「何者にも囚われない生き方をしてきた」というのは,別の言葉で言うと「科学的に考えることに囚われてきた」ということでもあるだろう。
 一般的な講演会なら「部活動で,忍耐力がつきました」なんてことを言うのかも知れないが,そういうのを拒否する姿勢こそが,科学的に考えるってことなのかも知れない。部活で忍耐力が付いたなんて,証明できないことだからだ。

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