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片田敏孝著『みんなを守るいのちの授業』

 片田敏孝氏とNHK取材班がまとめた子ども向けの本です。副題には「大つなみと釜石の子どもたち」とあるように,本書の内容は,震災当時の釜石の小・中学生たちが,想定外の津波にも飲み込まれることなく整然と避難できたのはなぜなのか,それを分析しています。当時の様子が手に取るようにわかります。
 子どもたちの生きる力を育てた“3つの教え”としてあげられているのは,
   1.想定を信じるな!
   2.どんなときでも最善をつくす
   3.率先避難者になる
です。「自分だけは大丈夫」という意識をいかに払拭するかがポイントですね。率先避難者になれるかどうかが,一番大切な気がします。誰も逃げていないのに自分だけ行動するのってそれなりの勇気と判断が必要ですからね。仕事中だったりしたときに,自分だけ逃げれますか? でもそれができないと助からないんですよね。
 

 NHKのクローズアップ現代で放映された「釜石の奇跡」を見て,子どもたちの主体的な避難行動に驚くと共に,しっかりした教育や避難訓練の大切さを痛感しました。本書は,そのときの取材も含め,釜石地区の防災教育に関わってきた著者・片田敏孝氏(群馬大学院教授)がまとめたものです。
 「防災マップの作り方」も出ているので,本書を読んでから,学校で取り組んでみるのもいいかもしれません。
 今勤務している学校のある地域の特性をもっとシッカリ知っておかなければと思いました。

 著者の大人向けの新書版もそのうち出版されるそうなので,予約しておきました。

 「釜石の奇跡」については,このブログにも書きました。↓です。
http://suzutano.tea-nifty.com/blog/2012/01/nhk-f5b6.html

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コメント

 KYという言葉が流行ったとき(今でも,子ども集団の中で,その言葉は生き続けているが),「なんという言葉が流行るのだ。日本人独特の排除の論理がますますひどくなるではないか」と思いました。実際,KYであることを恐れる人たちが増えたと思います。
 空気を読むというのは「その集団に同化しなさい」という強制力です。
 率先避難者となるには空気を読まないで自分で判断することが大切です。しかし,この率先避難者を見て「自分も逃げなければ…」とおもうのは空気を読める人ということになります。
 なかなか複雑ですね。

投稿: 珠洲たの管理人 | 2012年3月 2日 (金) 06:27

日本人は非常に空気を重んじます。

本来、こうしたことは何気ないコミュニケーションや、娯楽で追求されるべきものなのですが、政治であったり、重要かつ大切な事柄まで「空気」が優先される奇妙な国柄です。


例えば、「原発は危ないから辞めた方が良い」というと「お前はサヨクか」とか「将来のエネルギーのことを考えていないんだろう」と返ってきます。私は「原発が危ない」と言っているのに、その答えはありません。
また、これは保護者の方々に多いのですが、「子どもたちが一生懸命分別したのだから、“リサイクルは無駄だ”などと言うな」というお叱りもよくあります。でも、ちゃんと法律や原則に則っていない「リサイクルゴミ」はあるわけです。

日本社会に蔓延る、議論のすり替えや、架空のものは一応雰囲気で押してしまう風潮をどう克服していくか。非常に問われていると思います。

投稿: salir | 2012年3月 2日 (金) 00:03

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