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菊池誠他著『もうダマされないための「科学」講義』

 文科省のやっている全国学力学習状況調査(一般には学力テストと呼ばれている)で「朝ご飯を食べている子は成績がいい」という結果が示されています。が,これは科学的・統計学的に見て本当に言えることなのか…。
 そんな話題から,放射能を除去するという食品の話題まで,日常に潜む,疑似科学・似非科学を切ってくれます。そして,「科学的な見方考え方」について,その方向を示してくれます。
 科学的な考え方や判断のための有効なキーワードとして,著者たちは「疫学的思考」「ローカルな知」「トランスサイエンス」などを挙げています。

菊池 誠,松永 和紀,伊勢田 哲治,平川 秀幸,片瀬 久美子
光文社
発売日:2011-09-16
 トンデモ科学,似非科学など,人をダマす「科学もどき」が後を絶ちません。その内容は,「誰が見てもウソだろう」と思うものから,ちょっと見では気づかない科学っぽい話まで身の回りには実にたくさんあります。「誰が見てもウソだろう」と思うのにさえ誰かが引っかかるのは,人の弱さにつけ込むからでしょう。
 福島原発の爆発事故によって放射能が飛び散りました。放射能は確かに危険だけれども,その危険性を必要以上に煽って,金儲けにつなげようとしている人もいます。本書でもそういう事例が何例も取り上げられています。ただ,こういう例は姿・形を変えて次から次へと出てくるに違いありません。一つ一つに対処している訳にはいかないのです。
 だからこそ私たち一般人は,「科学的に考える」とはどういうことかをしっかり学んでおかなければならないのでしょう。
 100の結果のうち自分の都合のいい結果を1つだけ取り上げて宣伝しても,それは事実であることは確かですが,報道されない「あとの99はどうだったか」をしっかり見ることのできる眼を持ちたいものです。
 本書で2度も取り上げられている「2×2(4分類法)」という疫学的な見方」はとても役に立ちます。これだけでも身につけておきたいです。

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コメント

日本では「科学的知見」が非常にタブー視というか、議論が定着していない感じがします。

例えば、私が「ペットボトルのリサイクルは無駄だから、燃やした方が良い」というと、「子どもたちが一生懸命分別を努力しているのに、あなたは協力したくないだけなのでしょう」と返ってきます。

私は学問に基づいて、また現状を見てちゃんとリサイクルされていないし、リサイクルしてもほとんど採算がとれないという事実を見ているからそういっているのですが…。


放射性物質に関しては、私は年1ミリSvを厳守すべきと主張しています。たしかにICRPは「非常時は20〜100ミリまで良い」と定めていますが、あくまで任意団体であり、少なくともこの国の法律は年1ミリSvです。いくら道路を拡張したからといって、標識が40km/hなら制限速度は40kmなのに、なぜこうなってしまうのか…。


日本人の歴史を見ると、非常に怖いものがあります。
敗戦したとき、「以て万世の為に太平を開かむ」と天皇が言うと、これまで「鬼畜米英」と言って来た日本人が、マッカーサー宛に「マッカーサー元帥様」と多くの便りを送ります。(それが後のイラク戦争のアメリカの失敗につながったとも言われていますが…)
こういうことは、現実的ではないし、少なくとも科学の世界ではありえないことなのです。
科学というのは、あることがあって、あることに批判や反論がでて徐々に新たな考え方が確立するものなんですね。

温暖化→原子力→自然エネルギー・・・こういうのも何か怪しいニオイがしませんか?

投稿: salir | 2012年2月 5日 (日) 13:16

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