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宮本常一著『民俗学の旅』

 ブックオフ105円シリーズを続けます。
 今回は,柳田國男に次いで民俗学の草創期で多くのはたらきをし,著作もたくさんある宮本常一氏です。彼の本では,『忘れられた日本人』(岩波文庫)を読んだことがありました。今回紹介する文庫はその宮本の自伝的エッセイ集です。105円だから買ってみましたが,良い本でした(^^ゞ。古本じゃなくても購入して読んでみてください(^_^)v。

 ご存じ(というか,このレビューを読んでいる人はご存じのハズ)民俗学者として地道な活動をしてきた宮本の自伝的エッセイです。「なんで,こんなことまで覚えているの?」と思うくらい,小さいときの思いでも昨日体験したような表現で書かれています。
 宮本が,渋沢敬三(渋沢栄一の孫)ととても深い関係を持っていたということは本書で初めて知りました。敬三が宮本に対して,再三,「しっかり研究するために体も時間も大切にしろ!」と言っているのがよくわかります。敬三を見ていると「そんなに人の人生に介入するなよ」と思ってしまうくらい,宮本の就職等に対してもあーだこーだと助言?をしています。
 本書には,能登半島にある時国家に赴いたという話も出て来ます。能登も民俗学にとっては「宝の地方」だったんですね。

 本書には,能登半島の調査のことについても紹介されています。

 この調査(引用者註:五島列島の調査)から帰ってくると,私はすぐ能登の調査に出かけた。これは漁村の調査もかねていたが,社会学の武田良三先生(早稲田大学教授)の班に属して村落の調査に力をそそいだ。そこには中世的な組織を多分に残したものが多く,中世社会というものは土地によってはそんなに容易に消滅するものではないことを知った。対馬と言い能登といっても,内乱のきわめて少ないところである。そういうところに中世的な社会が残存しており,また中世的社会といっても地域によって少しずつの差がある。まず中世的社会の残存する地方の調査をしてみることは重要なことであると考えた。
 …中略…
 時国家の古文書は常民文化研究所から五巻ほど刊行されてあとが続かなくなった。
                             「12 戦後の農漁村をあるく」167p

 能登の時国家については,その後,網野善彦さんがとても詳しく発表してくれています。その先陣を切っていたのが,宮本さんだったんですね。能登を調べようと思ったのも,渋沢敬三氏が「能登の時国家に門外不出の古文書がたくさんあるから見にいってくれ」というので出かけていったそうです。

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