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新居信正著『小数の乗法と除法』

○新居信正著『算数わかる教え方学び方6 小数の乗法と除法』(国土社,1981年,174ぺ,980円[当時])

110909  本書は,数学教育協議会で水道方式と量の理論などを学び,仮説実験授業研究会で授業書作成の方法論や認識論を学んだ新居さんが,はじめて単行本として発表した算数の本格的な授業書です。
 これ1冊あれば,5年生の小数の乗法と除法の指導ができます。しかも水道方式とは何か,仮説実験授業の考え方とは何か,さらには,新居さんの授業運営法,子どもへの接し方まで学ぶことができます。
 残念ながら,アマゾンでは引っかかってきませんでしたので,今は販売されていないのかも知れません。古本で探してね。
 新居さんは,本書の「1 検定教科書批判」という章の結論で次のように述べています。

 4年生から5年生にかけて,そして小数のかけ算にもわり算にも「一貫性のある欠陥」こそが欠陥の欠陥たる所以であるわけです。量のうらづけも図式もなく,あるのはゴチャゴチャとした理屈だけで,それが故にわかりづらいということについて「一貫性」もしくは「系統性」があっても,それは何の益もないのです。
 つまり,内容の検討を抜きにした「一貫性」とか「系統性」とかいうものは何の意義もないのです。これはちょうど「いっしょうけんめい努力する」こと自体は何の値打ちもないのと,同様です。このことを昔の人は「骨折り損のくたびれもうけ」といみじくも指摘しています。精神主義の横行する教育界のこととて,よくよく心しておきたいものです。(p.39,下線は私)

 現在使われている検定教科書には,30年前と比べ,少しは「量」も扱われるようになっています。これも長年,民間教育団体が働きかけてきた結果でしょう。それでも,子どもたちに分かりやすいようになっているとは言えません。私は,5年生を担当するたびに,この授業書で小数を教えてきました。量に注目してもらうこともできるし,教科書よりもわかりやすいという評価ももらいました。水道方式による型分けの計算問題もたっぷり入っていて,ドリルも買う必要がありません。まあ,もともと普通の「算数ドリル」なんて何年生を担当しようが,買ったことはありません。いつも水道方式の型分けによるドリルをしていますので。

 新居さんは,ガリ版刷りでも,たくさんの算数教育の授業書案を発表しています。そのどれもが,子どもの認識の寄り添った,とてもわかりやすくたのしい授業になります。
 教科書研究をしっかりして,その対案として別の授業プランを示す姿勢。私も学んでいきたい部分です。

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コメント

 死して皮を残す…その通りですね。
 未だになくなったなんて信じられません。でも本当なんですね。
 あんなに魅力的で,頑固な親父を紹介してくれた池ポチャさんには,本当に感謝しています。

投稿: 珠洲たの管理人 | 2011年9月 9日 (金) 20:21

「虎は死して皮を残す」と言います。
新居先生は亡くなりましたが、残したものは本当に大きいですね。ぜひ私達が後世に伝えていきたいものです。

投稿: 池ポチャ | 2011年9月 9日 (金) 19:57

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