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想定外ではない原発事故だった

 原発事故の話題ばかり取り上げるのはちょっとこのブログには珍しいのですが,今回は許してください。
 さて,今日,書こうと思ってしまったのは,東電社長のこんな言葉を見つけたからです。

 東京電力の清水正孝社長は,1号機から3号機の事故が,国際評価で1979年にアメリカで起きたスリーマイル島事故と同じ「レベル5」とされたことについて,「自然の脅威によるものとはいえ,痛恨の極みです」とコメントを発表しています。(tv asahiより,下線は引用者)

 なんですかこの言葉は。「自然の脅威によるものとはいえ…」なんて,よく言えたものです。
 社長さん! あなた方がとてつもなく大量な札束をつかって田舎者をいじめてきた「絶対安全原発推進」の姿勢がもたらしたものがこの事故なのですよ。ここまできてもそれを「自然災害」のせいにするなんて信じられません。こんな人が社長なのです。こんな人だから社長なのでしょう。こんなの読まされるから怒りがわいて,他の話題に移れないのです。

 さらに,「アゴラ」というサイトで池田信夫という人は「原発事故というブラック・スワン」という記事で,この津波をきっかけとした今回の事故は「反対派も想定していなかった事態で,従来の論争の枠組みの外側のブラック・スワンです。」と述べていました。彼は,このコラムの最後に「今回の事故は,1000年に1度の最悪の条件でもレベル7の事故は起こらないことを証明したわけです」とも述べています。いやー,いろんな言論があるものです。日本はいいなあ。

 原発が津波による被害を受ける可能性については,珠洲にも何度も来て講演をしてくれた藤田祐幸さんがちゃんと言っていました。本にも出ていないかと調べてみたら,ちゃんと書いてあります。

 (3)津波が襲ってきたら
 地震による津波が原発を襲ったらどうなるだろう。日本の原発は,海水を冷却水に使っているので,どれも海沿いに建てられている。津波が押し寄せる前には,海水が沖合まで引いてしまうことはよく知られている。この引潮で冷却水の取水口が空中に露呈してしまうと,冷却水ポンプが空回りをして原子炉の冷却ができなくなり,炉心溶融事故に発展する可能性が高い。再び海水がもどってきても,いったん空回りを始めたポンプは再び海水を汲み上げることはできない。
 -中略-
 さらに,津波が押し寄せた場合,かりに頑強につくられている主な建造物が助かったとしても,非常用の補助発電機が冠水してしまえば,原子力発電所の全体が停電して,冷却水ポンプを回すこともできなくなり,炉心溶融につながることを覚悟しなければならない。
 藤田祐幸著『脱原発のエネルギー計画』(高文研,1996),25p~26p

 推進する人・反対する人いろいろいる中で,どのように情報を取り上げて自分の立場を決めていくのか。私は,昔の文献を読んで,現在の状況が,どちらの予想を支持しているのかをしっかり見ることが大切なのだと思います。
 今回の事故でも,政府や原子力保安院(これも推進団体であり,実質チェックを果たしていない)は,「事象」と言ってみたり,「大したことはない」「放射能は漏れていない…」といってみたりしていましたが,原子力資料情報室の人たちは「これは大変な事故につながる可能性がある」とはじめから言っていました。

 今日の夕方,ある民放を見ていたら,やっと原子力資料情報室の方の姿を拝見することができました。その番組で,どっかの2名の研究者のVTRで「今回の事故はチェルノブイリとは比べものにならない」「そこまで行かない」ということばかり強調する姿が出ていました。
 放射能は出ていない→放射線は微量だからすぐに人体に影響はない→規準を守って作業をしている→スリーマイルよりはマシである→チェルノブイリよりもましである
などと述べている原子力推進の研究者たち。こういう人たちにこれからの原理力産業を任せるわけにはいきませんね。

 日本の原発はこれ以上作られないでしょう。国民が許しません。それは今までウソをつかれていたことに気付いたからです。今後は、廃炉や廃棄物をどうするのかが重要な話題になっていくでしょう。とりあえず,福島第一原発はもう使えません。これをどのように冷やしつづけていくのか。ずっとポンプ車で冷やすつもりなのか? あのむき出しになった使用済み核燃料のプールはどうするのか。なにも決まっていないのです。

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コメント

のむさんへ
3号機がまたやばいことになりそうです。
もう,原発の記事は書きたくないのですが,少しでもみんなの命を守りたくて,こうやって書いてしまいます。
藤田祐幸さんはそんなにたくさんの本を書いていないので,見つけやすかったのです。
他の人も書いているかも知れません。

投稿: 珠洲たの管理人 | 2011年3月20日 (日) 17:13

藤田さんが15年前に予見している通りなのですね。驚きました。それを引っ張り出して見つける管理人さんもすごいけれど。

投稿: のむ | 2011年3月19日 (土) 23:48

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