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小田 実

 最近,小田実さんの本を読みました。小田実と言えば,「ベ平連」の運動で有名です。私より少し前の世代の教師はみんな知っているでしょう。私も学生時代に『何でも見てやろう』とか『世直しの倫理と論理』なんて本を読んだことがあります。そして,いつだったか京都のホールで講演も聴きました。強力なインパクトのある人だったことを覚えています。
 で,なんで今ごろ…小田実か…です。
 実は,昨年末にBSで以前放映した番組の再放送をやっていたのですが,そのなかに小田実の生前の姿を写した番組が2本ありました。私はそれを見ていて,心をうたれました。映像には,末期ガンになりながらも病床からわたしたちにメッセージを送り届けている小田の姿がありました。
 その番組で,私は,「ドイツには<良心的兵役拒否>という制度があること」を初めて知りました。「日本は世界で武力を使わない<良心的軍事拒否国家>として歩むべきだ」という指摘に大いにうなづきました。日本の歩いて行く方向が見えたような気がしました。平和憲法を掲げて世界に貢献できると思いました。
 そこで一番最近の本を2冊読んでみました。

『中流の復興』(生活人新書,2007,236p,780円)
『生きる術としての哲学』(岩波書店,2007,264p,2500円)

 小田実がなくなったのは2007年7月30日です。『中流の復興』は6月,『…哲学』は10月に出版されています。まさに最後の著作です。
 『…哲学』の方は,慶應義塾大学の経済学部の授業の様子をまとめたものです。小田さんの最後の講義です。授業を行っていたのは2002年の秋期講座「現代思想」です。それは,ちょうど9.11(2001年9月11日)を経験し,まさにブッシュがアフガニスタンを攻撃し,さらにイラクも攻撃しようとしているときでした。大学の講義なので話題は多岐にわたります。初めて聞く人の名前も多く出てきます。でも編集者の飯田裕泰・高草木光一の両氏がとても詳しい編註をつけて下さっています。また巻末には「小田実著作目録」が紹介されていてとても便利です。

 日本国憲法に基づいて国際協力はいくらでもできるのに,いつも国連軍だとか,自衛隊の海外派兵とか,そんな発想しか出て来ない。何のためにあるのかという根本的なところを,いつも考える,それが一番大事な点だと私は思う。(『中流の復興』57pより)

 私たちは,時折,混沌としている現状に嫌気がさしてどうにでもなれ!と思うこともあります。戦争はもうなくならないのだろう…と諦めもします。でも、小田さんの声に耳を傾けているうちに「いや,まだ大丈夫だ。私たちがやることはある。日本もやれることがある」と勇気づけられます。
 30年ぶりに小田実の言説にどっぷりと触れて脳が刺激され始めました。

 

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