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「現場」の思想

 昨日紹介した小田実の『生きる術としての哲学-小田実最後の講義』(岩波書店)から,幾つか紹介します。
 小田は「現場の思想」と題する章で,「いま世界は混沌としていて」「だから「現場」だということです」と述べ,その「現場」をわれわれはしっかりと認識し,判断をしていかなければならいと述べています。そして「〈現場〉の判断の条件について」次の2点を挙げています。

「される側」から考える
 される側というのは,爆弾を落とされる側,避難させられる側,殺される側ということです。政治は「する側」で考えるのかも知れませんが,それでは判断を誤ります。イラク戦争だって,爆弾を落とされる側から考えれば,テロ撲滅を御旗にして戦争を起こすことが如何に間違っているのかが分かります。
 これについて,小田さんは興味深いことを言っています。
 日本人の特徴のひとつに,「される側」の人たちが進んで「する側」の立場で考える,という奇妙なことがあります。私が市民集会でしゃべると,必ず「小田さんの言うとおりにやったら日本国はつぶれます」と立ち上がる人がいる。「あなたは総理大臣か」と言ってやります。何でそのへんの煙草屋のおじさんが,総理大臣の身になって一生懸命考えるのか。なぜ「される側」の人間が,わざわざ「する側」に回るのか。こんな国は日本だけです。(33p)
 そうですね。ネットを見ていても,高所=する側からものを言うような人が多いです。「原発止めよう!」というと「止めたら困るだろう。別のエネルギーを考えろ!」なんて必ず言いますよね。私たちは指導者ではないのだから,とにかく生活を守ることを考えて意見を言っていけばいいのです。それは無責任でもなんでもないんだと思います。

 もう一つ大事なことは,「知的であること」です。
 「知的である」というのは,大きな広い円のなかでものを考えること,そして大きな時間的な広がりのなかで考えることです。そのために知識が必要になるわけです。(34p)

 そして最後は「ヒューマン・イマジネーション」です。知識には限界があるので,その知識を超えて「人間的想像力」を働かせて判断をしていくのです。

 以上の3つが小田さんの言う「現場の思想」「現場で判断するための視点」ということになります。

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