『知られざる原発被曝労働』
岩波ブックレットに,藤田祐幸著『知られざる原発被曝労働』(1996年)があります。
18歳から28歳まで原発で働き,定期的に被曝した結果亡くなった,嶋橋伸之さんの話です。彼はのちに労災認定を受けます。要するに「原発の中で働いたため亡くなった」という認定を受けたのです。原発労働者で労災認定を受けたのは、このときの嶋橋さんで日本では二人目でした(それまでもいたのですが,みんな口止めされていたのです。嶋橋さんのご両親にも3000万円という弔慰金が来ていたのです)。
ここには,原発を動かすためには被曝することが避けられないということがわかります。そしてそれは微量であっても「確率的に」起きる可能性が高まるのです。
嶋橋さんは,年間で5ミリシーベルト~10ミリシーベルトの放射線を受けており,累積被曝線量は約51ミリシーベルトでした。放射線作業従事者には年間50ミリシーベルトという規準があります。だから法律的には問題なかったはずなのです。
今回,盛んに出てくる放射線量の数値は「1時間あたり」です。だから,単純に数値だけを見てはいけません。ただ,そこにずっととどまっているわけではありませんから,その点は大丈夫でしょう。
今,本書をアマゾンで探してみたら,「現在お取り扱いできません」でした。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 黒田杏子編著『存在者 金子兜太』(2018.03.21)
- 大鹿卓著『渡良瀬川―足尾鉱毒事件の記録・田中正造伝』(2018.03.10)
- 金子兜太他選『金子兜太いとうせいこうが選んだ「平和の俳句」』(2018.03.08)
- 吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』(2018.02.19)
- 谷崎潤一郎著『痴人の愛』(2018.02.26)
コメント